ひとくちに、台湾の物語を。
ボラは毎年11月から1月にかけて台湾沿岸で産卵します。
この短い季節にしか採れない卵は、自然からの貴重な贈り物。
からすみの味を決めるのは、素材の質と、
一枚一枚を丁寧に仕上げる職人の手仕事です。

野生のボラは広い海で漁獲されます。
ただ、捕獲のときにボラは強い驚きとストレスを受け、体内の胆嚢が破れ、その跡が卵に残ることがあります。
そのため、野生のボラの卵には「胆の印」と呼ばれる痕が見られることがあるのです。

ボラの卵には、中心に二本の太い血筋と細かな血管が通っています。
下処理の際に、この主な血筋を丁寧に取り除くことで、仕上がりの風味がすっきりとし、特有の生臭さを抑えることができます。

からすみは一枚ごとに状態が異なるため、漬け込み時間も少しずつ変わります。
塩味の決め手となるこの工程で、職人は微妙な加減を見極めながら理想の味に仕上げます。

漬け込みを終えたからすみは、清水で表面の塩を丁寧に洗い流します。
この工程では、洗う速さや力加減がとても重要ですが、動きが遅すぎると、次の工程に影響が出てしまい、逆に力を入れすぎると、繊細な卵膜が破れてしまうこともあります。

製造の途中で卵膜が破れることがあります。
職人は豚の腸の薄膜を使い、破れた部分を丁寧に修復します。
日光で乾かすと膜は透明になり、再び美しい姿に。
この薄膜は最終の選別工程で手作業で取り除かれます。

からすみは自然の恵みであり、形や大きさは一つひとつ異なります。
職人は丁寧に形を整え、美しく均一に仕上げていきます。
からすみは日光に当てることで、特有の香ばしさが生まれます。
現在は天日干しと乾燥室での風乾を組み合わせ、香りと塩味の理想的なバランスを保っています。

からすみの身を引き締めるため、石の重みをかけて水分を丁寧に抜いていきます。
こうして卵の粒がしっかりと詰まり、ほどよい弾力と締まりのある食感に仕上がります。
からすみの仕上がりは、職人の手の感覚がすべて。
硬すぎても柔らかすぎても理想の食感になりません。
塩漬けや日干しを経て、水分が約30%抜けた状態が最も美しい黄金比とされています。
一枚のからすみが完成するまで、およそ5〜7日。
風と太陽にさらされ、ときに雨を避けながら、丁寧に手をかけて仕上げます。
そうしてようやく、極上の味わいを皆さまにお届けできるのです。
